沼津市から南方に伸びる尾根は静浦山地と呼ばれるエリアですが、地元の山岳会によって整備がなされ、沼津アルプスとして命名されています。北から南へと、香貫山、徳倉山、志下山、小鷲頭山、鷲頭山、大平山と7つの山々の連なりを指しています。

沼津アルプスの特色は何かと聞かれれば、純然たる低山の連なりでありながら、本格的な縦走が楽しめるというところでしょうか。標高が400mにも満たない山々の連なりでありながら、香貫山~大平山間の高低差は1,000mを超えるため、2000m級の山岳よりもハードに感じることもあるやもしれません。

7山7峠をいく縦走路では、富士山や駿河湾の景色を一望できる箇所が点在しており、県内外から多くの登山者・ハイカーを集める人気のエリアとなっています。


今回は、そんな沼津アルプスの解説記事となっております。お付き合いいただけますと幸いです。
なお、実際に私が沼津アルプスを縦走した際の模様についてもブログ記事としております。併せてご一読いただくと、より雰囲気等が伝わると思いますのでよろしければご覧ください(*- -)(*_ _)ペコリ
(登山日2025年1月11日)
今回歩いたルートのご紹介
以下は私が実際に歩いたルートの概要です。(フリーハンドで記載しており多少誤差があります。実際に歩かれる際には地図・GPSアプリ等でご確認をお願いします。)

標準コースタイムは約6時間30分となっています。
多比バス停から大平山に登頂し、沼津アルプスの縦走をスタート。香貫山まで歩いたあとは黒瀬バス停に下山をしています。いわゆる、北行ルートを歩いて行きました。沼津アルプスには、私の歩いたルートとは逆をいく、南行ルートを取ることも可能です。
北行ルートについては、急坂を下っていくポイントが多く、南行ルートはその逆となります。登りは辛くなりますが、急坂のポイントを登りとする南行ルートの方が歩きやすかったかもしれません…。
私は特段何も考えず、単純に『沼津駅方面に歩いて行く方が帰りが楽だろう。』という理由から北行ルートを選択しており、その他の方々も、北行ルートを選択している方が多かったように感じました。
なお、大平山と香貫山がアルプスの終起点とされており、『沼津アルプスを制覇したい!』という目標であれば、この区間を歩き切る必要があります。
沼津アルプスはこんな山! 縦走路のポイントを5つご紹介!
- 全国ご当地アルプスの先駆け的存在!
- 志下山辺りから見晴場までは海を眺めながらの開放的なハイク!
- 香貫山の展望台からは富士山と沼津アルプスが一望できる絶景ポイント!
- 他のご当地アルプスと比較して累計標高差は大きめ…。
- ただし、ルートの取り方を工夫すれば、体力度にあわせた登山が可能!
以下から詳しくご紹介します。
全国ご当地アルプスの先駆け的存在!
沼津アルプスの命名は1980年。いまでこそ全国に増殖しているご当地アルプスの先駆け的な存在として知られています。
地元の山岳会が整備されたもので、その整備には並々ならぬ苦労があったようです…。年月が経過したいま、こうしてわたくしたちが歩くことが出来るのも地元の方々の愛と苦労の賜物ということになわけで、ただただ感謝の言葉しかありません(*- -)(*_ _)ペコリ
また、ご当地アルプスは全国各地に点在してはいますが、中には一般的に浸透しているもの、していないものが見受けられますが、この沼津アルプスに関しては広い層に受け入れられているようで、バス停の行先案内にも表示されていたりします。

こうして連綿と歩かれ続けている沼津アルプスですが、やはり『多くの人に歩かれるには、それなりの理由がある!』…ということで、見どころなんかを以下からご紹介させていただきます。
志下山辺りから見晴場までは海を眺めながらの開放的なハイク!
沼津アルプス縦走の魅力の一つはこれだと思っています。

海まで見渡すことのできる山はそれなりにありそうですが、海を横目にハイクできる山はそうあるものではありません。
志下坂峠というポイントから志下山を経て見晴場というポイントを縦走していきますが、この区間は沼津アルプスの中でも穏やかな尾根上を歩くこととなり、爽快な気分で歩くことできるおすすめのポイントです。
また、地元の自治会の手入れも行き届いており、展望の良い場所には案内板なども設置されているので、足を止めてみることを強くおススメします。


香貫山の展望台からは富士山と沼津アルプスが一望できる絶景ポイント!
沼津アルプスの道中では、いくつか富士山の展望ポイントがあるのですが、特に香貫山のそばにある展望台からの眺めは圧巻です。


裾野まで優雅に山肌を広げる富士山の眺めは、絶景と言っても間違いはないでしょう。眼下には沼津の市街地と駿河湾の景観が広がり、何時間でも眺めていられるような光景でした。
また、富士山の眺めも大変素晴らしいのですが、展望台の逆側からは、苦労して歩いてきた沼津アルプスの山並みを一望することもできます。ここまで沼津アルプスを歩いたのであれば、『ここまで歩いてきたんなぁ。』…と悦に浸れる時間です。

なお、香貫山の山頂については展望もなく、狭いので、山頂を踏んだら速やかに展望台へ向かうことをお勧めします。展望台の下は広場になっており、ベンチもあるので休憩にはピッタリです。
以下は香貫山の山頂の様子です。機械設備があるだけで見どころは特に無し…。


ちにみに、香貫山の山頂には野良猫が多数住みついており、運が良ければ顔を見せてくれるかもしれません。
他のご当地アルプスと比較して累計標高差は大きめ…。
下の写真は別日に伊豆箱根鉄道(駿豆線)の車内から撮影した沼津アルプスの遠景です。

見るからに凶悪なアップダウンであることが、お分かりいただけると思います。
私が実際に歩いた、多比バス停➡大平山➡香貫山➡黒瀬バス停の標高差については、登り下りともに1000mを超えていました。この例えでうまく伝わるかは微妙なところですが、これは日本百名山の四阿山をピストンした時と同じくらいの標高差となります。
私が実際に歩いた際のYMAPデータ概要
・のぼり:1073m
・くだり:1080m
・総距離:11.0㎞
何を言いたいかというと、『低山のご当地アルプスをのんびり縦走♪』…なんて考えていると痛い目にあいますよ♪…ということです。人里が近く、エスケープルートも多いのは安心材料ですが、それなりの体力は必要です。
私自身は、同年代と比べても体力はある方であると自覚していますが、縦走を終えたときはかなりお疲れモードでした。

・・・
しかしながら、辛いからこそ歩き切ったときの充実感はかなり大きいです!
ここまでは散々脅し文句をつけてきたところで、なんですが・・・
ポイントごとに異なる景色を見せてくれる沼津アルプスを歩き切ることができれば、いろんな種類の景色を楽しめて、なんだか一日が長く感じられたような気がしました。これは、私が歩き終えた後に感じた素直な感想です。


この感覚は私だけが感じるものかもしれません。
しかし、深い山中を歩くのとは違い、多くのハイカーと共に安心感を持って、歩きごたえのある縦走を楽しめるというのは沼津アルプスの醍醐味であると感じています。今のレベルからワンランク上の山を目指したい!そんな挑戦する前にはピッタリの山域かもしれません。
ただし、ルートの取り方を工夫すれば、体力度にあわせた登山が可能!
上述のとおりですが、沼津アルプスを縦走するとなると標高差も大きく、歩行距離も長めです。純然たる低山でありながら、歩きごたえもある。それが沼津アルプスであると感じていますが、のんびりと展望の良い箇所だけをいいとこ取りしたいというのも、また事実。
そういうわけで、分割して歩くこともプランの一つかと思い、オススメの分割コースについてもご紹介させていただきます。
ズバリ!…と結論から申し上げると志下峠~香貫山のルートとなるでしょう。

(フリーハンドで記載しており多少誤差があります。実際に歩かれる際には地図・GPSアプリ等でご確認をお願いします。)
沼津駅から志下公会堂前バス停まで移動して登山開始。あとは、志下山、香貫山を経由して黒瀬バス停方面へと下山するのは、冒頭紹介したコースと同じとなります。このコースであれば、鷲頭山の急坂を直前で回避しつつ、志下山・香貫山からの展望地を通過できます。
とはいえ、それ以外の場所でもアップダウンはありますので、準備は万全にお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ
沼津アルプス(多比バス停~香貫山)の難易度・体力度について
歩いてみると意外と辛いことで有名な沼津アルプスではありますが、難易度については優しめであると感じました。ピークまでの登り下りでは急坂もあり、鎖場(ロープ場)も点在していますが、危険を感じる個所は特にありませんでした。

ただ、強いてあげるのであれば、北行する場合の➀鷲頭山からの下り、②徳倉山からの下り、③横山からの下りについては特に急で注意が必要です。落ち葉も堆積しており時期によっては滑りやすいかもしれません。
登山道については、非常に多くのハイカーが歩いています。道中では手作りと思われる看板が要所に設置されており、進むべき方向が分かっているのであれば、道迷いになる心配はほとんどないと感じました。

体力度に関しては、私がヤマップで計測したところ、登り約1,000m、下り約1,000mという結果になりました。今回のコースを辿るならば7山7峠を行くということですが、(正確にカウントはしていませんが…)あきらかに7回以上は登り下りを繰り返した気がしています。

これは私が実際に歩いてみての個人的な感想ですが、登り下りが順番に現れるので、冒頭・中盤にかけては、意外と辛くはなかったです。
ただし、『終盤になるにつれてボディブローのようにじわじわと足に効いてくる。』…そんな印象を持ちました。当方30台・男性。週末は大抵登山に出かけており、同世代の人間よりは多少、体力に自信があるのですが、完走した頃には結構ヘロヘロになっていましたね…。
足の疲れからくるスリップや木の根につまづくことが一番危険かもしれません。
多比バス停(多比登山口)までのアクセス
以下はアクセスの概要です。今回は縦走前提と言うことで公共交通機関でのアクセスをご紹介させていただきます。

公共交通機関でアクセスする場合
沼津駅の改札から出ると、駅前にはバス乗り場が林立しています。後ほど知りましたが、その数は14か所です。私が訪れた際にも多少面食らってしまいましたが、駅前にはわかりやすい案内板もありますので、そちらを参照しましょう!
乗り込むべきバスは3番乗り場からのバスで、伊豆長岡駅行き、若しくは多比行きのバスとなります。


その他にも3番乗り場からは、様々な行先のバスが出ていますが、乗り込む前に運転手さんに『多比に停まりますか?』と確認することをお勧めします(*- -)(*_ _)ペコリ
自動車でアクセスする場合
今回は縦走がメインのため、公共交通機関でのアクセスを推奨します。沼津駅にあるコインパーキングを使用し、バスに乗車することもご検討ください(*- -)(*_ _)ペコリ
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