小金沢連嶺は、おおむね大菩薩嶺から滝小山までの標高2,000m級の山々の尾根を指し、富士山の大絶景と開放的な笹原歩きを楽しめるエリアとなっています。隣には大菩薩連嶺が鎮座していることから、人気がそちらに集中してしまい静かな山行を楽しめるエリアでもあります。
近年では甲州アルプスと命名し、知名度も上がってきているような気はしていますが、人気では圧倒的に大菩薩嶺が勝っており、日陰者のような扱いを受けているような気がしてなりません。
実際に両方の山を歩いてみたところでは、小金沢連嶺の方が人混みをを気にせずストレスなく山行を楽しめ、さらに、景観だけを比べても決して大菩薩嶺に劣ってはいないというのが個人的な感想です。
こんな素敵な場所が陰に隠れてしまっているのはもったいない。
そういった思いもありこちらの記事では、小金沢連嶺の魅力的な部分を余すことなくご紹介させていただきます。

また、一言で『小金沢連嶺』と言っても範囲は広く、全山を縦走しようとすると30㎞近くの距離となり、一日で縦走できるのはごく限られた健脚者のみとなるでしょう。

よって、今回のこちらの記事では、連嶺をいくつかに分割して、日を分けて挑戦することもオススメさせていただきます。いくつかのコース案をご紹介させていただきますので、計画の参考としていただけますと幸いです(*- -)(*_ _)ペコリ
なお、実際に私が小金沢連嶺を縦走した際の模様についてもブログ記事としております。併せてご一読いただくと、より雰囲気等が伝わると思いますのでよろしければご覧ください(*- -)(*_ _)ペコリ
それではどうぞ!
今回歩いたルートのご紹介
以下は私が実際に歩いたルートの概要です。(フリーハンドで記載しており多少誤差があります。実際に歩かれる際には地図・GPSアプリ等でご確認をお願いします。)

まずは、甲斐大和駅からバスに乗り小屋平バス停までアクセス。
その後はバス停の前にある登山口から、➀石丸峠➡②小金沢山・牛奥ノ雁が腹摺山➡③湯の沢峠➡④大蔵高丸・ハマイバ丸➡⑥米背負峠➡⑦やまと天目山温泉からバスで再び甲斐大和駅まで帰ってきました。
総距離は約21㎞となっており、それなり体力は必要は必要です。また、このコースだと牛奥ノ雁が腹摺山を越えてしまうとエスケープルートとして使える道筋が無いのも少々ハードルを上げている理由の一つだったりします…。
小金沢連嶺はこんな山! 縦走路の魅力を5つご紹介!
- 圧倒的に大迫力な富士山の眺め!
- 縦走路を進むにつれて景色が変わり飽きない
- 大菩薩嶺の陰に隠れて意外と空いている
- 多くの山々のピークを踏めて満足感がある!
- 下山後は『やまと天目山温泉』で汗を流そう!
以下から詳しくご紹介します(*- -)(*_ _)ペコリ
圧倒的に大迫力な富士山の眺め
小金沢連嶺を縦走する際の最大の魅力はやっぱりこれです!

ドーンとそびえる富士山の眺め!
今回、私が歩いた小屋平バス停からやまと天目山温泉へと向かって縦走していくと、徐々に富士山に近づいていくこととなります。歩みを進めていく度に、富士山がより大きく、ダイナミックに移り行く様は圧巻の一言。
樹林帯に覆われる箇所もあるのですが、道中では小金沢山➡牛奥ノ雁が腹摺山➡大蔵高丸➡ハマイバ丸と富士山の眺めが特に秀逸な秀麗富嶽十二景に選定された山を4座も経由していきます。各地の山頂で富士を眺めながら休憩できるのも大きな魅力!
また、秀麗富嶽十二景に選定されている4座以外にも富士山を眺めるには打ってつけのスポットは多数存在しており、個人的に特にオススメしたいのが白谷ノ丸(しろのやまる)からの眺めです。

正直な話、関東近郊で登山をたしなんでいる方からすると、標高の高い富士山ならば様々な山から眺めることができて、特段珍しいものでは無いかもしれません…。
しかし、この白谷ノ丸からの眺めについては、感動すら覚えるレベルでした。南側の斜面が開けており、崖地のピークから眺める富士山にはドラマチックな光景で、ズ~ッとこの場でこの景色を眺めていたいとさえ感じさせる場所です。
今回ご紹介しているルートはロングコースとなっており、体力的には厳しいと感じる方も多いかもしれませんが、出来ればこの白谷ノ丸の単品だけでも挑戦してみてはいかがでしょうか?また、後述しますが、湯ノ沢峠から近くに位置しており、マイカー保有者ならば簡単にアクセスできる場所です。
縦走路を進むにつれて移り変わっていく景色
さて、富士山の眺望がいかに素晴らしいかと言うことをご紹介させていただいたわけですが、富士山以外にもこの山域には特筆べき光景が多くあります。特に印象に残ったポイントをいくつかご紹介させていただきます(*- -)(*_ _)ペコリ
1つ目のポイントは、木屋平バス停を出発して1時間ほど歩くと到着する石丸峠の近く。天狗の棚というポイントです。樹林帯の坂道を抜けると一気に視界が開け南アルプスの大展望が広がります。また、眼下には大菩薩湖が顔を出しているのも良いアクセントになっています。


スタートして序盤も序盤ですが、写真撮影に打ってつけ岩場もありますので、是非、立ち止まっていただきたいポイントです!
2つ目は湯ノ沢峠付近に広がるお花畑です。
残念ながら私が訪れたのは5月上旬のGWということもあり、高山植物を愛でるには時期が早かったのですが、大蔵高丸からハマイバ丸感は草原が広がっており開放的です。


長い長い縦走路となりますが、こうして様々な景色を見せてくれるのも小金沢連嶺の魅力の一つです。歩くたびに景色が移り変わっていくのが面白く、『縦走ってやっぱりいいな。』と感じさせてくれた場所でした。
大菩薩嶺の陰に隠れて意外と空いている
今回わたくしが訪れたのは、GWの真っ只中でした。JR中央線の甲斐大和駅で下車した際には、あまりの登山客の多さに辟易としたのが強烈に印象に残っています。

山歩きと自然を満喫しに来ているのに人混みで気疲れするとは本末転倒も良いところ…。
しかし、蓋を開けてみると大菩薩嶺へと向かう登山者がほとんどで小金沢連嶺へと向かう登山者は本当にごく少数という状況でした。
駅前ではバス待ちで溢れんばかりの人混みだったのが、小金沢連嶺の登山口である小屋平バス停に降り立ったのは、わずか15名ほどの人数でした。登山者が最も活発に活動するであろうGWの季節にありながら、ここまで空いているというのは穴場であると断言できます。

私がそうなのですが…GW・お盆・山の日などの混雑が予想される日については、敢えて登山を避けるようにしていたのですが、人出も丁度よく、ここまで静かな山行ができるとは完全に予想外でした。
しかも、大菩薩嶺からの眺めと比較しても、全然、見劣りしないぐらい(むしろ勝っているのでは?)の展望が広がってるというのは前述のとおりです。知名度・ネームバリューでは日本百名山ブランドの大菩薩嶺には叶わないかもしれませんが、一回くらいは『じゃない方の山』にも目を向けてみてはいかがでしょうか?
多くの山々のピークを踏めて満足感がある!
これは歩く方の好みによるかもしれませんが、縦走路中はいくつもの山々のピークを越えて行きます。私が今回歩いたルートでは7座の山頂を通過していきました。
- 小金沢山(秀麗富嶽十二景)
- 牛奥ノ雁が腹摺山(秀麗富嶽十二景)
- 川胡桃ノ頭(展望なし…)
- 黒岳(展望なし…)
- 白谷ノ丸(個人的に超お勧めの場所!)
- 大蔵高丸(秀麗富嶽十二景)
- ハマイバ丸(秀麗富嶽十二景)
『数ばっかり気にして楽しいの?』、『量より質で勝負でしょ!』と思われる方々が大多数でしょうが、私のように制覇した山々を勲章としている人種もいるんだ!…ということをここに宣言しておきたい!

なんで『なんでそこまで登頂した山にこだるの?』と問われれば、やはり『百座の頂に立ったことがある!』というと、なんだか『それっぽく』聞こえませんか?
人の数だけ、その人の山がある。
…といったわけで『多くの山々のピークを踏める!』ということも一つの魅力としてご紹介させていただきました。あまり可哀そうなものを見るような目で見ないでくださいね…。


なお、コースの選定方法によってはより長く、より多くのピークをハントすることも可能です!健脚自慢の方は、是非、挑戦してみてください!
下山後は『やまと天目山温泉』で汗をながそう!
下山後には速やかに温泉に入りたい!というのは多くの登山者の欲望ではないでしょうか?
長い長い縦走を終えてヘトヘトになっている頃合いですが、ゴール地点が日帰り温泉施設であるというところも魅力の一つでしょう!
やまと天目山温泉は標高約1,000m地点にある日帰り温泉施設で縦走路と甲斐大和駅の道中に位置しています。立ち寄るには便利な場所に位置しており、下山したあろから徒歩でもアクセスが可能です。

お風呂の種類は内湯、寝湯、ジェットバス、露天風呂と基本的なモノは押さえてあり、入浴料金もリーズナブルで体にも財布にも優しい施設です。入場に際しては3時間以内券と一日券がありますが、3時間以内券で十分かなという印象。
高アルカリ性の温泉で風呂から出た後はお肌はツルツルになってました。
なお、やまと天目山温泉にはバス停が併設されています。温泉で時間調整を行ってから甲斐大和駅までバスで移動ということも可能です。
やまと天目山温泉
- 所在地 甲州市大和町木賊517
- 定休日 毎週水曜日、年末年始(臨時休館あり)
- 営業時間 10時~19時(最終受付18時)
- 入浴料金 大人1日(中学生以上):830円
大人(3時間以内):520円
小学生1日:310円
幼児:無料
※甲州市内在住であれば割引あり
参考URL:ぐるり甲州市(やまと天目温泉)
分割登山のご提案 オススメコースのご紹介♪
上記で紹介したコースは距離も長く、季節によっては日没タイムアップも考慮しなければなりません。そういうわけで、分割して歩くこともプランの一つかと思い、オススメの分割コースについてもいくつかご紹介します。
小屋平~小金沢山・牛奥ノ雁が腹摺山~すずらん昆虫館へ下山
甲斐大和駅からバスに乗車して、木屋平バス停まで移動して登山開始。牛奥の雁が腹摺山からすずらん昆虫館前バス停に下山してバスで帰路に就くコースです。標準コースタイムは5時間10分。

このルートの見どころは3つ
- 天狗の棚の絶景!
- 小金沢山・牛奥の雁が腹摺山からの富士山!
- 開放的な尾根歩きが楽しめる!
小金沢山の山頂は狭いので牛奥の雁が腹摺山山頂で休憩とするのがおススメです。秀麗富嶽十二景にも選定されており、富士山の眺めもバッチリです!

すずらん昆虫館~牛奥ノ雁が腹摺山~ハマイバ・大蔵高丸~やまと天目温泉へ
甲斐大和駅からバスに乗りすずらん昆虫館前から登山開始。連嶺を縦走しやまと天目温泉へと下山。温泉からは甲斐大和駅行きのバスが出ているので、温泉で時間調整をするとgoodです!
ただし、標準コースタイムは約7時間15分とちょっと長めです…。湯の沢峠でタクシーを使用することも検討すると良いかもしれません。

このルートの見どころは4つ
- 秀麗富嶽十二景3座を巡る縦走路!
- 秀麗富嶽十二景ではありませんが、白谷ノ丸からの眺めは超おすすめ!
- 湯ノ沢峠のお花畑と開放的な草原地帯!
- やまと天目温泉で汗と疲れを癒してバスで帰宅!
やまと天目温泉からのバス時刻表については、甲州市HP『ぐるり甲州市』を参照してください。参照する時刻表は『甲州市(塩山・勝沼・大和)縦断線』。若しくは、登山口まで移動に使用した栄和交通さんの『大菩薩上日川峠線』の時刻表となります。
車があるなら湯ノ沢峠を起点するのもオススメ!
湯ノ沢峠を起点として、小金沢連嶺のいいとこどりをすることができるコースです!
湯ノ沢峠から白谷ノ丸までは標準コースタイムで往復1時間40分。ハマイバ丸までは往復で2時間となっています。一日で両方を踏破することも可能な範囲かと。

このルートの見どころは3つ
- 大蔵高丸・ハマイバ丸は秀麗富嶽十二景の景観!
- 白谷ノ丸からの眺めは超おすすめ!
- 湯ノ沢峠は開放的なお花畑と草原地帯!
マイカーでアクセスする場合は、湯ノ沢峠に駐車場・トイレが整備されています。ただ、一部未舗装の道路があるとのことで注意は必要かと。また、冬季は通行できないようなので、無雪期に使用することとなります。
なお、マイカーが無くても甲斐大和駅からはタクシーで7,000円・所要40分です。4人パーティ位であれば許容の範囲内でしょうか?
登山難易度・コースタイム
危険と思われる個所は特に見当たりませんでした。小屋平バス停~やまと天目温泉の区間では、歩きにくいなと思う箇所は何か所かありましたが、特記するほど個所はありませんでした。(キレイな富士山に見とれて転ばないように注意は必要かも…。)
登山道については、秀麗富嶽十二景に選定されている山々縦走することとなり、そこそこ登山者もいます。登山道も踏み跡が明瞭である区画が大半ですが、一部、獣道が伸びていることがあり、そちらに迷い込む危険性があります。

また、縦走する場合はロングコースとなりますので体力は必要です。道中では牛奥ノ雁が腹摺山を超えてしまうとエスケープルートが存在しない点は要注意。最悪、湯ノ沢峠には車道が通じており、タクシーを召喚することは可能ですが、6,000円~7,000円ほどのメーター料金がかかるようです。
総距離約21㎞の山道を歩き切る時間と体力は確保したいところです。できれば日の高い季節に挑戦するのが望ましいでしょうか。
登山口までのアクセス
今回は縦走路の紹介がメインということもあり、基本的には公共交通機関を使用したアクセスを解説。大人気の百名山・大菩薩嶺が至近にあるということもありバスはキチンと運行しています。
以下はアクセスの概要です。

甲斐大和駅に到着し、改札を出て右手に進めばバス乗り場があります。広場状になっているので見逃すことは無いかと。

すずらん昆虫館前 | 牛奥の雁が腹摺山 登山口 |
小屋平 | 石丸峠・小金沢山 登山口 |
上日川峠 | 大菩薩嶺 登山口 |
- 便数は一日5便
- 運賃は小屋平まで970円。交通系ICカードには非対応。
- 乗車時間は小屋平まで36分
- 2024年のGWは時刻表に限らず増発便が出ていました。
なお、季節運航のため時刻表は必ず確認してください。2024年の場合は、4月20日~12月15日間の土・日・祝日(一部平日有り)となっていました。
最新の時刻表については栄和交通さんのホームページで確認をお願いします。『大菩薩上日川峠線』が大菩薩峠・小屋平・すずらん昆虫館前に停車するバスとなっています。
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